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オススメの一冊

No.050 日本 2006.01.06 up
プラナリア 山本文緒
山本文緒:プラナリア 概要
どうして私はこんなにひねくれているんだろう---。 乳がんの手術以来、何もかも面倒くさく 「社会復帰」 に興味が持てない25歳の春香。 恋人の神経を逆撫でし、親に八つ当たりをし、バイトを無断欠勤する自分に疲れ果てるが、出口は見えない。 現代の 「無職」 をめぐる心模様を描いて共感を呼んだベストセラー短編集。
感想
主人公たちが私と同じ年頃の女性というのも手伝ってか、もの凄く共感を覚えました。 この現代、いろいろと問題になっている 『無職』 。 その無職者たちの心の問題をつぶさに捉え、見事なまでにその心の内面を浮き彫りにしています。 自分はこうなってはいけない・・・。 自分の内面を見直す、良いきっかけを与えてくれた作品集でした。
文春文庫 ISBN 4167708019 定価¥457
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No.049 日本 2006.01.06 up
ころす・の・よ 日下圭介
日下圭介:ころす・の・よ 概要
恋人に捨てられ、傷ついた心に芽ばえる殺意。 もう戻って来ない楽しかった日々と訣別するため、女は完全犯罪を計画する。 ---微妙に揺れ動く女心の翳りを描く表現作 『ころす・の・よ』 をはじめ、暑く重苦しい夏の殺人事件と蛍を象徴的にからませた 『暗い光』、スラリー仕立ての 『阿美の女』、日常生活の盲点を突く 『盲点のひと』 など、本格推理の佳作を七編収録した最新オリジナル短編集。
感想
とても風刺の効いた上質のスリラー。 このひねくれた結末を予想するのはほぼ不可能。  計算されつくされた物語展開に、ただただ唖然・・・。  動物や植物といった小道具を巧みに利用して物語に豊かな彩りを加え、さらにキメ細かい描写とリリカルな文体が独特の情趣を生み出しています。  サスペンスにありがちな読後の切なさはあまり感じず、どちらかというとほのぼのとした読了感を味わうことが出来ました。  先の読めてしまう陳腐な推理小説に食傷気味の人にもオススメでっす♪
新潮文庫 ISBN 4101058113 定価¥360
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No.048 日本 2006.01.06 up
日曜日と九つの短篇 連城三紀彦
連城三紀彦:日曜日と九つの短篇 概要
見知らぬ男の後妻となるホステス (「日曜日」)、20年前の恋人と再会するやくざ (「裏町」)、腹違いの子を育てる玩具店の女房 (「棚の隅」)・・・。 名作 『恋文』 の直後に書かれ、裏町に住むさまざまな人々の胸の思いをあざやかに掬い上げて、著者の新たなる到達点を示した珠玉の10篇を収録する短篇集。
感想
心に痛みを持ちつつも、一生懸命生きている女性たちを描いた短編集。  針と糸とで布を縫い合わせる行為、そしてその布もまた、糸を織り合わせて出来ているというその事実・・・。  それが痛みを抱えて日常を生きている女性たちの憎しみの対象となり、物語の小道具として重要な意味を含んでいる・・・。  女性たちの心と小道具を絡ませたこの手法は実に見事! 自分は主人公たちと同性であるにも関わらず、異性である著者から 『女性』 というものを教わったような気がします (;´▽`A``
文春文庫 ISBN 4167420031 定価¥320
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No.047 アメリカ 2006.01.06 up
本当の戦争の話をしよう ティム・オブライエン
ティム・オブライエン:本当の戦争の話をしよう 概要
日ざかりの小道で呆然と、 『私が殺した男』 を見つめる兵士、木陰から一歩踏み出したとたん、まるでセメント袋のように倒れた兵士、 祭の午後、故郷の町をあてどなく車を走らせる帰還兵・・・。 ヴェトナムの・本当の・戦争の・話とは? O・ヘンリー賞を受賞した 『ゴースト・ソルジャーズ』 をはじめ、心を揺さぶる、衝撃の短編小説集。
感想
今までに戦争に関する話はいくつか読んだ。 しかしどの本も、戦争を国単位の規模でしか語っていなかったように思う。  この本は『本当の戦争の話』。 真実かどうかはさして重要ではない。 ここに描かれた物語は、全て個人単位で語られた戦争そのものだ。  だからここまで胸を締め付ける。 戦争を知らないこの平和な時代。 この本を読んで、アナタも『本当の戦争の話』 をしてみませんか?
文春文庫 ISBN 4167309793 定価¥581
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No.046 日本 2006.01.06 up
おせん 池波正太郎
池波正太郎:おせん 概要
〔けころ〕 とよばれる娼家から身請けされ、いまは囲われ者となっているおせんと、かつてのなじみ客でゆすりの罪で島流しにあった男の母親との心のふれあいを描いた表題作。  それがその男の口ぐせとも知らず「不作の生大根」 という罵言にかっとなり、思わず殺してしまった世間知らずの娘の、その後の人生を追った『三河屋お長』。  ほかに 『あいびき』 『お千代』 『梅屋のおしげ』 など全13編収録。
感想
この著者の描く女性像は、みな強くて逞しい。 冷静に女性というものを捉え、良いところも悪いところも全てひっくるめて 『これが女だ』 と言わんばかりのところが見え隠れする。 悪い女がいたっていい。 女生来の悪もある。 それら女の悪いところを 『それは仕方の無いことである』 と何もかもを赦してもらえたような、そんな安心感を覚えた作品集でありました。 う〜ん、秀作!
新潮文庫 ISBN 4101156263 定価¥552
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No.045 アメリカ 2005.12.03 up
少女パレアナ エレナ・ポーター
エレナ・ポーター:少女パレアナ 概要
孤児となったパレアナは気難しい叔母さんに引き取られたが、どんな事からでも喜ぶことを探し出す 『何でも喜ぶ』 ゲームで、その頑な心を溶かしてゆく。 やがてその遊びは町全体に広がり人々の心を明るくした。  全編にあふれている強い希望と温かい心は1913年にこの本が出されてから今もなお、多くの読者に読み継がれている。
感想
淋しさ・哀しさを乗り越えるために考え出された 『何でも喜ぶ』 ゲーム。 それは、小さな少女の精一杯の努力だった。  それが孤独な大人たちの心を解きほぐし、素直な心へと導いてゆく・・・そんな感動の物語。  確かに、人間の心を強くし、尚且つ美しい心を育むのには、とても素晴しい方法だと思う。
この本を単なる小説と思って読むか、実践の参考書だと思って読むかはアナタ次第!
角川文庫 ISBN 4042212018 定価¥533
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No.044 日本 2005.12.03 up
ひかりごけ 武田泰淳
武田泰淳:ひかりごけ 概要
雪と氷に閉ざされた北海の洞窟の中で、生死の境に追い詰められた人間同士が相食むにいたる惨劇を通して、極限状態における人間心理を真正面から直視した問題作 『ひかりごけ』。 仏門に生れ、人間でありながら人間以外の何ものかとして生きることを余儀なくされた若き僧侶の苦悩を描いて、武田文学の原点をうかがわせる 『異形の者』。 ほかに 『海肌の匂い』 『流人島にて』 を収録する。
感想
多数派に虐げられる、辺境に住む者・異形の者たち。 そして、その虐げられる者たちに共感するようなポーズを取る偽善者たち・・・。  それらの関係がストレートに表現されている表題作『ひかりごけ』。
生きるために人を食した。 食人の罪を犯さなければ、生きることが出来なかった。 それは果たして本当に罪なのか。  裁判とは、合法的に仕組まれた復讐ではなかったか・・・? 罪を犯した人間を裁くことで、人類は更なる罪を犯してはいないのだろうか・・・?  深く、考えさせられた作品集でした。
講談社 ISBN 410109103X 定価¥400
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No.043 アメリカ 2005.12.03 up
停電の夜に ジュンパ・ラヒリ
ジュンパ・ラヒリ:停電の夜に 概要
毎夜1時間の停電の夜に、ロウソクの灯りのもとで隠し事を打ち明けあう若夫婦 - 『停電の夜に』。  観光で訪れたインドで、なぜか夫への内緒事をタクシー運転手に打ち明ける妻 - 『病気の通訳』。  夫婦、家族など親しい関係の中に存在する亀裂を、みずみずしい感性と端麗な文章で表す9編。  ピュリツァー賞など著名な文学賞を総なめにした、インド系新人作家の鮮烈なデビュー短編集。
感想
この作品集の舞台は、インドとアメリカ。 しかし作品のほとんどは、インド系の人物に関したものだ。  ここに描かれている状況には、民族性の枠におさまりきらない広がりがある。
家族を離れて独りで生活する人、恋人も友人も待たない人、そして、家族や友人に囲まれていながらも、 独りでいるような淋しさを感じている人々。 そんな、誰もが人生のどこかでふと感じる不安や戸惑いを集めた作品集。
集英社文庫 ISBN 4102142118 定価¥590
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No.042 日本 2005.12.03 up
死者の奢り・飼育 大江健三郎
大江健三郎:死者の奢り・飼育 概要
死体処理室の水槽に浮沈する死骸群に託した屈折ある抒情 『死者の奢り』、療養所の厚い壁に閉じこめられた脊椎カリエスの少年たちの哀歌 『他人の足』、黒人兵と寒村の子どもたちの無残な悲劇 『飼育』、傍観者への嫌悪と侮蔑をこめた 『人間の羊』 など6編を収める。 ”閉ざされた壁のなかに生きている状態” を論理的な骨格と動的なうねりをもつ文体で描いた、芥川賞受賞当時の輝ける作品集。
感想
『飼育』 について。 非常に残酷な内容を、どうしてここまで美しく描くことが出来るのだろう。  外部で行われている戦争と、主人公の少年の成長過程が見事なまでの二重奏を生み出している。  『人間の羊』は傍観者の欺瞞である。 これを読んだときの痛みと辛さは決して忘れないだろう・・・。
とにかく、いろんな意味で衝撃的な作品集です!
新潮文庫 ISBN 4101126011 定価¥438
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No.041 日本 2005.12.03 up
光の海 津村節子
津村節子:光の海 概要
海の見える老人ホームを夢見る妻と、自分の家に固執する夫を描く表題作の他、 突然失踪した夫を探して盛岡に行きつく「風の家」、十八年間の秘密を男の妻が覆す「新緑の門出」、 息子をなくした老夫婦が孫を訪ねる「麦藁帽子」など、さまざまな男女の愛と裏切りが平穏な日常を万華鏡のように変えていく十の短篇。
感想
ふとした出来事で、今まで満足していた人生に闇を見る・・・というような大どんでん返しが、ここに収められた作品の大半に見ることが出来る。  満足とは、すなわち自己満足。 他者への思いやりに欠けた身勝手さである。 最初はなんて痛烈な内容だろう・・・などと思っていたのだが、どうやら違う。  足元を掬われた後には、必ず再出発が待っている。 第二の人生を始めるのに、年齢は関係ない。  『光の海』の主人公 雪江は、74歳で再出発を果たしたのだから。
文春文庫 ISBN 4167265133 定価¥495
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